夏がくればそれだけでこころがウキウキします
あなたあての短い夏の便りは
もう書き終えたけれど今年は届けることができません
どうして暮らしていますか
朝の食事はきちんと食べていますか
仕事をぐちる口もとはきっとひきしまっていますか
土曜日の夜にはいつもくりだしていた
梅田のベコーのママは元気でしょうか
エナメルのひかる靴はいてネクタイしめて
あなたと酒を飲みにいきたい
電話もずいぶんとだえて声も聞けないけれど
海の波に照りつけるおひさまの輝きに似たあなたのひとみは
まだあの頃のようですか
あなたに打ち明けるわたしのこころは
買ったばかりのスーツのようにぎこちないけれど
遠いところでじっとあなたを見つめています
旅先の喫茶店で紅茶を飲みながら窓際にすわって
あさの会話をたのしむ人達を見つめています
絵葉書にぴんとした切手をはってあなたに届けたい
しかくな葉書のまんなかに
元気でと書くことだけが
精一杯のわたしのあかんたれ
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