あおい空のおおきなしろい雲に
ぶら下がっては消えていく
こころのひだのような
無数の思い出が
いま思い出すことができない
ひとがいなくなる
その理由は
数え切れないほどあるけれど
閉じた本の頁に埋もれる
あなたのいなくなった理由
じっと窓の外を見ていると
子供の僕と
手をつないで立っているあなたが
ホームで待っているような気がした
戻らない時間を
糸車のようにたぐり寄せているけれど
病院の寝床であなたは何も待つことがない
僕が誰だかそこがどこだかわからない
きょうも人波のなかに
ふとあなたの影が落ちている
道路にできたみずたまり
雨上がりの歩道橋の上
傘をささずに歩いてくるひとなみ
ごきげんよう
遠い国で見た朝焼けの空のむこうに
確かにあったあなたと僕との約束
ふってもはれても
よそみしても
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